眼底写真考

眼底カメラで撮った眼底写真、今ではデジタルカメラが当たり前となってますが、昔はポラロイド写真で撮ってそれを紙カルテに張り付けるが主流でした。フィルムもありましたが現像に出してプリントしないといけないので、いかんせん時間がかかります。
糖尿病網膜症の一番初期の変化が、毛細血管が膨れて小さい点のような出血に見える毛細血管瘤。大きさで言いますと、網膜の血管(動脈)の直径0.1mmのさらに数分の1の大きさです。その小さな毛細血管瘤が10個~20個と多発してる場合はスリット(細隙灯)で見てすぐに分かりますが、1個や2個だった場合は見つけるのにそれなりに時間がかかり、数十秒から1分は掛かりますでしょうか。その間、患者さんはずっとまぶしいままです。
眼底写真がきれいに撮れているのなら、眼底写真でまず当たりをつけておいてスリットで場所を確認する、でよいのではと思ってます。
では、写真判定ですべて良いのか?残念ながら、眼底にいくまでの途中に白内障や硝子体混濁などの濁った物がありますと、眼底写真がはっきり写りません。この状態でも、スリットで見ますと眼底写真よりははるかに見える事が少なくなく、濁りの隙間からそれなりに見えます。眼底写真は一瞬の静的な撮影ですが、スリットでは「動的」に見えます。
将来その隙間から見た画像を合成して一つの画像に合成する技術が早晩に開発されるのではと思っていますが、現在の所はまだまだ眼科医の肉眼での診断が勝ってる部分も多いのかなと思います。