「飛蚊症」という病名

黒い物が飛んでる見えるという飛蚊症はほぼすべて、眼球内部の空間(硝子体)に生じた何らかの濁りが影になって見えるという症状で、病名・診断名というよりどちらかと言いますと自覚症状の事だと思います。頭が痛いで頭痛、腰が痛いで腰痛、などど同じくあくまで本人の自覚する事がら。
若い人の飛蚊症の多くは、どこを探しても硝子体の濁りがなく、苦し紛れに「生理的飛蚊症」という病名を良く使ってしまいますが、硝子体中に後部硝子体剥離や硝子体混濁などの明らかに濁りがあればそれを病名とするのが適切だと思います。
以前、あたかも病名のように飛蚊症と言われたという方が来まして、見ると硝子体の上だか下だかにすごく大きい塊状のにごりがある人がいました。そのにごりの事は指摘されていないかを聞きますと、言われていないと。ご本人が忘れてしまって飛蚊症という言葉だけを覚えていただけかもしれませんが、結構同じような事をしばしば経験します。
それと逆に、今度は40代の若い方が10年前硝子体混濁と言われたとで来院。30代で硝子体混濁ですか、、、確かに、自然発生したと思われます硝子体の濁りはわずかですがありました。間違っていない、正しいとは思いますが、患者さんがさも病気・病態のように受け取ってしまうのはちょっとどうかと思いました。
どっちなんだよって言われるかもしれませんが、明らかにでっかい濁りだったら硝子体混濁、よーく探さないと分からない位だったら生理的飛蚊症でもよいのではと思ってます。