ミドリンMの使用期間

小児の一時的な近視の治療薬でミドリンMという点眼薬があります。調節麻痺剤といいまして、眼球内にある毛様体筋というピントを合わせる筋肉を数時間弛緩(しかん、ゆるめる事)させ、近視度数の軽減を図るという物です。

ネットでの一般の方の意見では、ミドリンMなんて効かないというのも見受けられます。自分がずっと前にいました職場で大学から派遣されてました1人の先生が同じく、こんなの効かないと言ってました。大学病院勤務と一般開業医では立場も大分違いますが、その先生は視力が改善した例をほとんど見なかったのだと思います。また別の先生ですが、眼科医になる前にパイロットをやっていまして、自分で実際ミドリンMを使ってみて確実に視力が改善したとも言ってました。

自分の感触としましては、近視度数がゼロにはならないが明らかに1段階・2段階軽減する例が、多くは無いものの確実にあると思ってます。それでは、どの位の期間続けるのか?1日1回就寝前の点眼ですので、1回に何滴も使わなければ通常1ヶ月近くもちます。眼科医になりたての頃、上の先生に2〜3ヶ月と言われ以来ずっとそうしてますが、日本眼科医会のウェブサイトにも「2~3か月治療して視力が出ないようなら続けても意味はありません」とありました。

一つ困りますのが他施設で半年とか1年以上とか、長期に続けている患者さんの場合です。以前の職場で、もう辞めていいのではと中止を勧めたところ、じゃあどういう目的で今までさしてたのか?とひどく怒られてしまいました。どうやら、近視の進行予防目的で使ってると思われてたみたいです。一部で近視進行予防効果もあるのでは?との意見もあるようですが、弱いとはいえ筋肉を弛緩させる・瞳孔も開くという薬を小児に長期に使うというのは自分は抵抗があります。